東日本大震災!
あの大震災のその時、私は職場休憩室のテレビで名取が津波に飲まれる姿を見ていました。「そういえばマギーさんは宮城・・・」と通勤難民して帰宅後確認したら・・・なんと名取!これは無事では済むまいと思いつつ、なかなか繋がらない携帯メールを発信し続けました。「もはやこれまでか・・・」と諦めかけた15日、ようやく返信があり「家族とバイク1台以外全て失いました・・・」と。残念ながら2台の初代は津波に流されたそうですが、身内に犠牲者が出なかったのは何より!ちなみに奥さんは津波に飲まれ救助されたそうですが、会えるまで3日もかかったそうです。 その後送られてきたマギー1号の哀れな姿がこれです。昨年11月に手に入れた2号はいまだ発見されていません。 到底復旧できる状態ではなく「使える部品があったら使ってください」と・・・。さしずめ回復の見込みがない家族をドナー提供する心境でしょうか。一昨年私とOB会員逆三郎君との連係プレイで紹介して、本当に大事にしてピカピカで乗ってたんです。それが・・・。たった2年の付き合いでしたが幸せな晩年だったと信じます。 これも復興支援!
実は既に初代の部品は十分なストックがありますから、今更解体車を漁る必要はありません。また解体そのものも自治体等でやってくれるようです。しかし彼の気持ちに答えるべく、引き取ってこちらで解体処分することにしたんです。元々何らかの復興支援に汗を流したいと思っていましたから、これはチャンスに恵まれたとも言えます。 もとより復興支援にはやぶさかではなく、義援金をどこへどう送るか?なんてカミさんと相談していました。しかし気が付けば東北方面へは国内ばかりか世界中からも膨大な「キモチ」が集まっているとか。そこでメディアで殆ど伝えられない地元千葉の九十九里方面へ義援金を、東北方面へは大局を皆さんに任せ、一個人に対して直接の支援をしよう!と。だって・・・仲間ですから!早速日程調整し21日のしのぎ後にローダー借りて引き取りに行く決意をしました。
さいとー北へ向かう!
4/21(木) しのぎの朝のミーティングで「名取へ行くので・・・」と早めに上がる旨を告げると部下たちも快諾。概ね定時で脱出できました。首都高も空いていて18時半頃にはガレージサイコーに到着。シュラフ等荷物をローダーに積み込みしばし雑談。心配した今井会長が同行すると言って下さいましたが、旧車整備で休みのない年寄りゆえ丁重にお断りました。そして19時前、概ね予定時刻で出発。「今行くぞぉ〜!」と雄叫び上げて。ただこの次点で頭に浮かんでいたのは、横倒しの傷ついた初代とメディアで見て分かったつもりでいる荒れ野原が少々。送られてきた写真も現実のものとは認識できず、ドライブ気分の感は否めませんでした。
マギーさんの自宅
荒れた路面〜野営地へ
何時間かかるのか読めないので、とにかく眠くならぬように、とおにぎりや菓子類を少しず摘みひたすら北上。と言っても燃料費もバカにならないので90キロ程度で流します。被災地に向かうんでしょうか?大型トラックが多数北を目指して飛んでゆきます。やがて福島県に入った頃から路面が荒れだし、いたる所に真新しいアスファルトの補修跡が。空のローダーのまぁ弾むこと弾むこと。80キロ規制も頷けます。それでも順調に北上し、意外にも4時間半で分岐点の仙台南JCへ。名取へはここから仙台南部有料道路→仙台東部有料道路と走るのですが、うっかり通過して気が付けば仙台宮城IC。「またやっっちまった!」と苦笑いしつつ話のタネに、と仙台市街を走ってみることにしました。しかし着いてびっくり!どこにも地震の痕跡がありません。ごく普通の地方都市の夜の風景です。道幅が狭ければ東京と何ら変わりありません。津波にやられなければ日本の建物は強いということですかね?なんとも複雑な思いでした・・・
そこそこで切り上げ今夜の野営地(?)を求めて今度こそ名取へ向かいます。 仙台南部有料道路も仙台東部有料道路も50キロ規制。これは走れば分かります。もっとすごいですから・・・。しかし期待したSAはなく名取界隈を2時間近く彷徨うハメに。結局名取IC近くのコンビニの駐車場を寝床にしました。彷徨う間に見た真暗な道端に不自然に「置かれた」車、そしてヘッドライトに照らされ突如現れる漁船。イヤでも「現場」に着いたことに気が付きます。が所詮闇の中で一部を見たに過ぎません。時計を見ればもう2時。疲れも手伝ってすぐに寝てしまいました。 そして言葉を失う・・・
4/22(金)7時頃目を覚まし辺りを見渡して愕然!茶一色の、元は田んぼと思しき荒れ野に点在する車、漁船・・・。「これか・・・」と軽く言葉を失いました。そう、今にして思えばこの時点ではまだ「軽く」です。そこへマギーさん到着。「全てを失いジリ貧の生活・・・」と聞いていましたから、差し出されたペットボトルはとても重く感じて・・・。なのにこちらが面食らうほど明るい表情!リアクションにも苦労してしまいます。早速彼の先導で家、いや「元家」に向かいます。やがて街中に入りそこで見たものは・・・ !!!!もう声も出ません。言葉も浮かびません。只々涙が溢れるばかり。つぶれたアコードもショックと言えばそうですがそんなものの比ではありません。どう表現すればいい?どう伝えたらいい?いくら写真など撮ってもそれが何になる?これはその場に立たぬ限り絶対に分かりません!きっとあの日、昼食後までいつもと何ら変わらないごく平凡な小さな街だっただろうに!それが・・・。シャッターはマギー1号に向けてかろうじて2度だけ押せました。
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